原付・バイクの過失割合と過失相殺

交通事故では、双方に不注意があった場合、加害者とされた側がすべての賠償責任を負担するのは公平とはいえません。

例えば、クルマで人をはねてしまった。という場合のことを考えてみます。通常は、自動車の運転者に100%の責任があります。

しかし、 人対車の事故でも、もし夜中に酔っ払った人が道路で寝ていて、自動車がそれに気づかずはねてしまった。という場合はどうでしょうか。この場合も100%自動車が賠償責任があるということになるのでしょうか。

この場合は、自動車の運転者が100%悪いということになりません。轢かれてしまった人のほうにも半分責任があるとされます。

このように、被害者側にも責任がある場合は、損害を公平に分担するため、賠償金から被害者の責任の割合を損害額から差し引いて賠償することが一般的です。これを過失相殺といいます。

そしてこの責任の割合は、発生した交通事故の原因となった双方の不注意の割合で決められることになります。これを過失割合といいます。

過失割合は、加害者と被害者双方がそれぞれに要求される注意義務を怠っていないかどうかということにも戸月決められます。たいていの場合、道路交通法で定められる優先関係や遵守事項、事故の状況から、過失割合が決められます。

また、過失割合は事故の状況によって、基本割合が決まっており、それに双方の不注意状況を反映して修正し、最終的な過失割合が決定されます。

それでは、バイクと4輪自動車の過失割合についての例を見てみましょう。

交差点でバイクと4輪自動車が直進して交通事故となった場合を考えて見ます。次のようなケースです。
バイク側の信号は赤、4輪自動車側の信号も赤で、双方が直進し、交通事故となった場合です。

この場合は、基本過失割合は、バイクが40%で、自動車は60%となります。

ちなみに、同じ状況で、4輪自動車対4輪自動車の交通事故の場合ですと、基本過失割合は50%ずつとなります。

過失割合は、慰謝料の計算時に使われる重要な数字です。慰謝料の計算基準は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準があります。

双方が損害保険会社の示談代行サービスを利用したときは任意保険基準、紛争処理センターや裁判で弁護士を交渉の代理人に選任した場合は、弁護士基準を使って慰謝料が計算されることがほとんどです。

そして、実務でよく利用される任意保険基準や弁護士基準ではこの過失割合が厳密に計算されますし、自賠責基準を使って慰謝料を計算した場合も、自賠責保険の限度額を超える場合にも過失割合は厳密に計算されます。

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