自賠責に未加入状態で事故した場合

自賠責保険の保険金は最大で3000万円です。そして、仮に損害保険会社が販売している任意保険に加入していたとしても、任意保険から支払われる保険金は、自賠責保険で補償される保険金を超過した金額に限定されます。

例えば、自賠責保険に未加入のままで、交通事故をおこしてしまい、被害者に後遺障害がのこったとします。

最近の裁判では、このような事故の損害賠償金額は3億円以上が相場となっています。

最近の例をご紹介すると

被害者は25歳男性、後遺障害、損害賠償金額 約3億6千万円(2004年6月)
被害者は29歳男性、後遺障害、損害賠償金額 約3億8千万円(2005年5月)
被害者は38歳男性、死亡、損害賠償金額 約3億7千万円(2006年6月)
被害者は23歳男性、後遺障害、損害賠償金額 約3億8千万円(2007年4月)

自賠責保険に未加入のままで任意保険で対人賠償未制限に加入していたとしても、自賠責保険の限度額3000万円の分は任意保険で支払われません。そのため、人身事故を起こして、仮に損害賠償金額が3億円だっとしても、自賠責保険に未加入の場合、3千万円は自己負担となります。

仮に、自賠責保険に未加入のままで、人身事故を起こしてしまったとします。任意保険にも入っていなかったとします。賠償できるお金がないと開き直っても、被害者は国に被害金額を請求でき、国は被害者に被害金額を支払います。
そして、その後に事故を起こした人にその金額を請求するのです。国の請求ですから逃れることができません。

自動車、大型バイク、小型バイクは車検があり、そのタイミングで自賠責保険に入ることになりますので、加入し忘れるということはまず考えにくいですが、250cc以下の軽二輪、原付自転車は車検制度がありませんので、加入を忘れたり、更新を忘れてしまうということは起こりがちです。

しかし、人身事故を起こしたときの責任からは逃れられません。

更新の時期がくるとハガキで通知がきますので、忘れずに自賠責保険の更新手続きをしましょう。手続きは損害保険各社の本支店のほか、インターネットやコンビ二でもできます。

ちなみに、自賠責保険は、人身事故の被害者救済を目的として作られた制度であり、物損事故や自損事故の補償はしてもらえません。

物損事故でも高額な損害賠償を請求される場合は珍しくありません。例えば、お店につっこんでしまったら1億円とか、ガードレールを壊しても30万円といった賠償金額になることがありますから、任意保険にも加入しておいたほうがいいでしょう。

合わせて読みたい関連記事

  • 原付・バイクの自賠責保険と任意保険

    自動車保険には自賠責保険(強制保険)と任意保険とがあります。 自賠責保険は、交通事故で人身事故にあった被害者を救済するための保険で、物損事故は補償されません。 そして対人事故の場合の補償額は、上限が3000万円となっており、介護を要する後遺障害の場合は4000万円が上限となっています。 ...

  • 自賠責保険の請求

    交通事故が起きてしまった場合、さしあたり必要なのは、被害者の治療費ということになりますが、その原資となるのは自賠責保険であることが多いでしょう。 自賠責保険の請求方法には2種類あり、ひとつは加害者請求で、もうひとつは被害者請求です。 加害者請求は、加害者がまず被害者に損害賠償金を支払い、...

  • 年間の交通事故件数

    交通事故の発生件数は、平成16年の95.2万件をピークに、近年は年々減っており、また、平成初期から10年代までは、毎年1万人前後が交通事故で亡くなっていたのですが、最近では5千人以下となっています。 (出典)政府統計の総合窓口「平成25年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取り締ま...

自賠責保険の基礎知識